1.追憶

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1.追憶

今日はわたしの20歳の誕生日。 大人になる記念の日だから、と家族揃って食事へ出かけた。 1月にあった、成人式には行かなかった。 同級生たちに会う勇気がなかったからだ。 思い出話なんてしたくない。 食事から帰り、郵便受けに入っていたものを束でつかみ、宛名をそれぞれボンヤリ確認していると 一通、わたし宛の手紙を見つけた。 ……ドクン、と鼓動が脈打つ。 見覚えのある字。 いや、待って。 ありえないでしょ。 そう思いながらも、緊張は増していく。 震える手で封筒を裏返し、そこに書いてあるであろう差出人を目で追うと、 そこには ――――朝霧 陽斗(あさぎり はると) とハッキリ書かれていた。 ありえない名前に、心臓が止まりそうになった。 呼吸すら忘れたかのように呆然とその場に立ち尽くす。 その姿に気付いた母が、「どうしたの?」と声をかけてくるまで動けずにいた。 「な……んでもない。上行ってるね」 平静を装い、わたしはその手紙をバッグに隠すように持って、2階の自分の部屋へ移動した。
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