プロローグ

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「どれくらい見ていただろう。その写真が徐々に赤く見えてきたの。写真全体が真っ赤に光り出して…。何、これ?って思ったの。でも、お婆ちゃんの顔を見ても相変わらず懐かしそうな、嬉しい顔を変えてない。もしかして、写真が赤く見えるのは私だけなのかな?って気が付いたの。」 目の前の歩道には桜が満開に咲いている。 その桜の花びらを優しい風が1枚1枚揺らしている。 「それからお婆ちゃんは突然亡くなったの、心筋梗塞で。私が赤く光った写真を見た丁度1ヶ月後。これはあの赤い光が関係あるのかな、って思った。」 「ママ~。」 小さな女の子が小走りにみのりの元に駆け寄ってきた。 「はいはい、ママはちょっとお話ししているから、もう少し待っててね。」 みのりは優しく頭を撫でて、女の子を抱きかかえた。
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