プロローグ

4/4
前へ
/199ページ
次へ
「ごめんね、話が途中になって。 結局、私には他の人にはない能力がある事が分かったの。 それはね、自分の愛する人の死期が分かる能力。 愛する人が一生で一番の思い出の品を手に取る。 その思い出の品とは、本人には分からないの。 でも、私には分かるの。 何故なら赤く光るから。 その人が持っている品で赤く光れば、その品はその人にとって一生で一番の思い出の品。 そして、それは同時に1ヶ月後に死を迎える合図…。 こんな能力、誰も信じてくれないのは分かっていたから、誰にも言いたくなかった。 そりゃそうだよね。 こんな能力があっても、楽しい事なんてほとんどない。 むしろ、悲しい事ばかり。 それはそれは、正直辛い事もたくさんあった。 え?今? 今はね、実はこの能力はなくなっているんだ。 何故なくなったのか、それはね、この能力のお陰で幸せな事があったから。 その幸せな思いが能力に打ち勝ったの。 無くなったのはね、今から丁度10年前、17歳の時。 忘れもしない、高校2年生…。」
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

630人が本棚に入れています
本棚に追加