私と魔王の生首、時々植木鉢。 あらすじ編集

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魔王いわく、彼の最後の記憶は魔王城での勇者との戦いだったらしい。四天王を倒され、魔王と勇者一行は死闘を繰り広げた。魔王は第三形態まで姿を変え追い詰められたが、勇者たちもまた精根尽き果てる直前だった。これ以上長引けば危険だと判断した魔王は回復役を担う勇者一行の聖女を殺そうとした。しかし殺されかけた聖女を見て勇者は覚醒。凄まじい力を発揮した。 そして意識を失った魔王。次に気が付いたときにはこの箪笥の上だったと言う。 「勇者に殺されたんだ。」 「殺されてなど!現に私は生きている。」 「身体が箪笥になってるけどね。」 「ぐぅ……!」 悔しそうな顔をする魔王。要するに殺されたらしい。そのまま死ぬはずだったのに、何の因果か私の部屋の箪笥と合体し生き延びているらしい。 「魔族を統べる王の役に立ったこと、光栄に思え。」 「迷惑極まりない。」 「なにっ!……なるほど、見返りが欲しいのか。ならば私の身体が戻った暁には、私の配下に加えてやらんこともない。」 「鋸……、」 「待て待て待て!世界の半分をくれてやろう!」 「いらん。」 結局、特に解決案も出ず、何故私の箪笥の上にいるのかもわからないまま。 ただ不確定要素が多すぎるせいで切り落とすことも引っこ抜くこともできず、不本意ながら生首だけの魔王との共同生活が始まったのだった。 「ナツメ!」 「大声出さないでくれる魔王。」 「わかった、悪かったからその植木鉢を下ろせ。」 何のせいかわからないが、早いとこ魔王の身体が迎えに来るなり、魔王の首が身体のところに戻るなりしてほしい所である。
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