少女は神殺しを誓う

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「クソ神があアアアアッ!!」 天に空高く響き渡り、降ってくる返信。 『ゴメン!ドジったお!』 『殴られて痛かったお!』 ただのドジだけではなく私が杖でフルスイングしたことを根に持ってやがる。 示談は成功していなかったと気づいても時すでに遅し。天は高く、地は低い。いくら私が願えど神殺しを決行することはできない。 せめて、せめてもう少し早く気が付きたかった。ギャルゲのモブとか誰得だよ。ギャルゲを傍観すればいいとか思わないでもないけど、傍観する前から入学式時点で攻略キャラっぽい女の子たち攻略されているし。チョロインにもほどがあるだろ。ドキドキワクワクのスクールライフを返せ。 さていくらがっかりしようと神を罵ろうとどうしようもない。私はただ知らないギャルゲの世界で生きるだけなのだ。 仕方がなく、モブとしてモブらしく日々を送っていた。イケメンは鑑賞する分には好き、という立場だが、ぶっちゃけあの千賀谷李人というイケメンは因縁がありすぎて心穏やかに鑑賞することもできない。だがまあ私はモブだし、関わる関わらないの前に千賀谷くんの周りには常に女子が群がっているために顔を拝むことすらあまりない。ぶっちゃけ、どうでも良い。ヒロインだか攻略対象だかよく知らないが、勝手に乳繰り合っててくれ。私はこの世界でも平々凡々な人生を送りながら猫を愛でて死んでいくから。 とか思っていたのに。 「おはよう、松岡さん。」 「……おはよう、千賀谷くん。」 わざわざ私の席に来て挨拶を個人的にしていく千賀谷くん。キラキラしいかんばせももはや「うわっ、面倒な奴に話しかけられた。放っておいてよ。」という感情しか生まれない。 なぜか平凡転生少女の私はウルトラスーパーイケメン転生男子に興味を持たれているらしい。 正直に言おう。 死ぬほど鬱陶しい。 この発端は私が彼の落としたハンカチを拾った時だ。関わりたいとは思わないが、積極的に不幸を願っているわけではない。そのためハンカチを落とした彼を追い、一クラスメイトとしてそれを届けた。 「……千賀谷くん、ハンカチ落としたよ。」 「あ、ありがとう!気づかなかったよ。」 ここまでは良い。普通の会話だ。だが次がおかしい。
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