箱入り娘(物理)と狼王 【前】

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硬い文字に、柔らかくしようとした痕跡の見られる文章、挙げ出せばきりがないのでこれ位くらいにいたしますが、ノート越しにも愛おしさが募ってまいりました。一国の主たるガオラン様も忙しいでしょうに、私のために交換ノートにお付き合いいただき、本当にありがたいと思っています。 そしてこのノートが終わりました。そのためてっきり私は二冊目の交換ノートを用意していただくつもりでございました。 「リーファ様、陛下と交換ノートをしてみていかがでしたか?」 「ええ、大変お優しい方だと思いました。なんのお役にも立てない私をこのようにお気遣いいただき、本当に感謝しています。アランさんも、このようにお互いを知れるような方法を提案していただき、ありがとうございました。」 「いえそんな!出過ぎた申し出でありましたが、そのように言っていただけてうれしい限りにございます!……それで、リーファ様。まだ陛下のことは恐ろしいと思われますか?」 「まさか!とても紳士的で素敵な方だと、私は思っています。」 「まあ!それは良かったですわ!リーファ様、よろしければもう一度陛下と、ガオラン様とお会いいたしませんか?」 それは私にとって願ったりかなったりの提案にございました。 何やかんや、私の態度により私がガオラン様のことを恐れている、という勘違いが生まれてしまい、それを訂正することができずにいましたが、私は最初からガオラン様のことを恐れてはいませんでした。 それこそ、お会いするまでは丸呑みされるのでは、頭からバリバリいただかれるのではと思わないでもありませんでしたが、一目見たときから私の中から一切の怯えはなくなり、たいへん素敵なイケモフ様で頭がいっぱいになってしまいました。モフモフに対する熱いパトスがみなぎっております。 「は、はいっ、陛下のご予定さえ許されるのであれば、是非。」
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