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しどろもどろになりそうなのを抑えるとつい不愛想に素っ気無くなってしまう。
果たして今まで私がこれほど緊張したことがあっただろうか。なんとかリーファを部屋の中に促す。
しかしそこで無骨一辺倒な部屋であることを初めて後悔した。実用性しか備わっていないソファにローテーブルをはさんで座る。数日前から彼女がこの部屋を訪れることはわかっていたのに感情にばかり気を取られてまともにもてなす準備などできていなかった。後悔するがもうすでに遅く歯噛みする。
逸らし続けていた目を、前方に向ける。
この殺風景な部屋に可憐な彼女がいるというのはなかなか妙で、自分の部屋だというのにひどく座りが悪い。陳腐な表現であり我ながら砂でも吐きそうだが、荒野に咲く一輪の花さながらであった。
一瞬目が合うがほぼ反射的に目を逸らすどころか顔ごとそっぽを向いてしまった。
「っ、」
少しだけ息を飲む音を耳が拾いハッとする。
恥ずかしかっただの顔を合わせる勇気がないだのそんな情けない理由で今私は彼女を傷つけてしまったのではないだろうか。
彼女は私が恐ろしいのを我慢してこうしてこの部屋に来てくれている。いや、この国に身を置いてくれている。それなのに私はそれに対し相応しい礼も取らず顔を背けてしまった。王として、男としてこれほど情けないことがあるだろうか。
ノート越しであれば饒舌になれたというのに、実際に会えばこの体たらくだ。
どうにも居たたまれなく、せめて心を落ち着かせるために茶を入れることにする。
「待っていろ、茶を入れる。」
「わ、私がやります!陛下は座っていてください!」
「私がやると言っている。座っていろ。」
ぴしゃりと言うと背後で気配がしぼむのを感じ罪悪感で息苦しくなる。
意識などしていないがついつい言い方が高圧的になってしまう。おまけに何のせいかいつも以上に言葉足らずだ。
本当は、お前はどこに食器があるかもわからないだろう。私がもてなす側だ、ゆっくり座っていてくれ、と言いたかったのだ。
それなのに何をどうしてここまで不愛想で不機嫌そうな言葉になるというのだろうか。我ながら理解ができない。
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