箱入り娘(物理)は輸送中

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最初私は転生トラックをそれはそれは恨み申し上げました。 誰だって思うでしょう。一度くらい現実から逃れたいと。しかし本心からそう思っていてなおかつ転生トラックを迎合するのはほんの一握りだけです。 けれど死んだような目をしていた赤子を、父も母も愛してくれました。5つ年上の兄も大変可愛がってくれました。 元の日本に帰りたいと思っていましたが、自然今の現実を受け止めリーファ・カルレアンとして生きていくこととなったのです。 私の生まれたカルカナ王国は大陸の端にある小さな国でした。領地は小さく領民も少ない。お世辞にも豊かな国とは言えません。それでも皆つつましく暮らしておりました。 細々と、しかし温かい暮らしを崩したのは大陸に進行してきた魔族でした。 魔族は人間と違い大きな力を持っています。地を割るほどの怪力の他にも見目もたいへん恐ろしく、大陸にすむ者皆震え上がらせました。 困ってしまったのが何を隠そう、清貧なカルカナ王国です。 小さな王国、大した戦力も持っておらず、平和に暮らしていたせいで農民たちも戦いなどしたこともない。今でこそ、魔族からの侵攻がないもののいつ攻められてもおかしくなく、もしそうなればひとたまりもない。国民の誰もがわかっていました。 もちろん、隣国に助けを求めたり協力を仰ぎもしましたが、カルカナ王国は豊かな土地ではなく、領民も少ない。他国とて魔族侵攻に関して余裕があるわけでもない。カルカナ王国を助ける旨みがないのです。 小さな王国カルカナ王国は孤立無援でした。 絶望に打ちひしがれる中、一本の光が差しました。 それがギルヴァーン王国でございます。 ギルヴァーン王国はカルカナ王国から北に位置する雪に閉ざされた国にございます。多大な武力をもつ武装国家です。その強さは大陸随一とも言われますが、それゆえに他国からはたいへん恐れられておりました。 そんなギルヴァーン王国が同盟をカルカナ王国に持ち掛けたのです。 もしギルヴァーン王国が味方に付いてくれればさぞ心強いでしょう。 もちろん、条件はありました。圧倒的にギルヴァーン王国は格上なのですから当然のことでもあります。 条件はカルカナ王国皇女の嫁入りでした。
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