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勝手な想像でしかありませんが王というからにはライオン、虎、狼、熊、そんなところなのでしょう。それこそ気に入られなければ頭からバリバリ、もしくはペロリと丸のみでしょう。
好奇心と恐ろしさに胸をいっぱいにさせ、ゆらゆらと揺れる箱の中でただただその時を待っているのです。
まだ見ぬ獣人の王様はどのような方なのでしょう。
4つ耳があるときやほとんど人間であった場合、落胆を隠していられるかしら。
ゆらり、ゆらり箱は揺れます。私の身体に合わせた小さな箱は体温の所為か仄かに温かく、いつの間にかまどろみ、そしてすっかり熟睡してしまいました。
熟睡してしまった私リーファ・カルレアンが目覚めたのは王城の謁見の間、獣人の王であるガオラン・ギルヴァーン様が箱のふたを開けた直後でございました。
目を開けると目の前に理想の獣人様。モフモフムキムキな狼の獣人。
「モフムキ……、」
それだけ呟いて気絶するほど好みどストライクな素敵な殿方でございました。
この後顔を見ただけで気絶されたと王様がかなりへこんでいたことも、慣れるためにとまず交換日記から清らかな交際が始まることも、箱の中で気絶する私はまだ知りませんでした。
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