春の野っぱら、草っぱら

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透きとおった水が、古い石垣の間から、こぼこぼと流れ出す。 山から引かれた水の小川は、これから田畑を潤す用水路。 畑の向こう側で散った桜の花びらが飛ばされて、辺りをまだらに、淡い紅色に染めていた。 ぴかぴか光る空気に満ちた、甘やかな花の香(かおり)と、水と土の匂いは。 (春のにおいだ) 畑の道を歩きながら、ハルナは思う。
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