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「サンショウ、ウオ……?」
「……ミーシャ、アンタ山椒魚飼ってるって言わなかった?」
「……か、飼ってる。オオサンショウウオさん。」
「……しかもあの蛙王子が城に来たのと同じ日じゃなかった?」
嫌な汗がダラダラと背中を流れる。心当たりがありすぎる。私のサンショウウオが客人の蛙を食べてしまうのではないかと危惧していたが、それどころでは無かった。諸悪の根源だった。
「普通のサンショウウオではありません。人の言葉を話し、体長も50センチほどで大きい。しかし結局はサンショウウオ、四足で鈍く動くことしかできません。」
「……アンタのサンショウウオ、喋ったりしない?」
「……あのね、アンちゃん。」
「うん。」
「しゃべる。」
「……そう。」
アンジェリーナはそれだけ言って、騒ぐことも誰に知らせようともしなかった。ジリジリと後ずさり、扉へと下がる。
「あの魔法使いを野放しにしておくことはできません!今後私のような被害者を出さないためにも、一刻も早く捕らえなくてはならないのです!」
「王子!その魔法使いはどこに?」
使用人通路扉をそっと後ろ手に開けて、私は走り出した。
「サンショウウオの姿をした魔法使いは、この国とルルヒ王国国境付近の森の中に!」
私が飼っていたのは、オオサンショウウオなどではなかったようで。
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