0人が本棚に入れています
本棚に追加
リクオは腕組みをしながら、あぐらをかく。
「モルソン、百歩譲って、この状況を受け入れよう。…ただ、ひとつ気に食わない事がある」
「なんだい?」
「あのさ、こう言うのって、もっとベタな感じで行くなら、主人公はニートとかダメ男くんでさ、年齢も10代とか20代じゃん?」
「ああー、確かにねー」
溜め息をつきながら続けるリクオ。
「俺いま32歳!仕事もバリバリの広告代理店で働いてる!!自分で言うのもなんだけど稼ぎ頭!!出世街道まっしぐらのエースなんだけど!!」
「ああー、そうだよねー?」
「こう言うのって俺みたいな奴じゃなくて、ゲームオタクのダメ男くんの役目っしょ?」
「まぁ、それも考えたんだけどさー、そこだけは一味違う感じで行きたかったワケよ」
「お前もうちょっと口調のキャラ設定を統一しろよ」
モルソンも短い足であぐらをかく。
「リクオさー、これとりあえず冒険に出ないといけない感じなんだよ、コレ」
「冒険?面倒なんだけど?」
「わかってくれよー。…これね、『僕達の世界』の勝負がかかってんのよ」
「は?」
「一応、この世界ね、人間ひとりにモンスター1体がパートナーとして付くワケよ。それでモンスターを育成してバトルする感じなワケよ」
「うわー、めっちゃありきたり」
「モンスター関連の世界も色々とあってさ、ウチはかなり苦戦してる方なのよ。…有名どころで行けば、ポケットな感じのモンスター世界とか、デジタルな感じのモンスター世界…」
「おい!ギリギリ!それ発言がギリギリ!」
「あと、コアなファンが多いのが、ファームが関わってくるモンスター世界かな。あ、あと人気なのは、ドラゴン的なクエストな感じのモンスター世界」
「伏字にしよ!せめて伏字にしよ!」
「いま言ったのは、みんな大手だから凄いワケよ。ウチはベンチャーだからさ」
「お前ら会社か!?」
最初のコメントを投稿しよう!