冒険の書 1 『その役割が俺ですか?』

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モルソンは立ち上がる。 「まぁリクオ!そんなワケで冒険に出ようぜ!」 「え、だから面倒だって。オレ別にゲームオタクとかでもないし」 「この世界をクリアしないと元の世界に戻れないぜ!?」 「うわー、出たー、そんな感じかー」 「ちなみに、この世界にいる間は、現実世界の時間は心配しなくていいから。もしクリアできて現実世界に戻れたら、リクオがこの世界に飛ばされる直前の時間に戻されるから」 「え、マジで?じゃあ仕事しなくても良いし休めるから、この世界から出ない方がいいじゃん俺」 「ああー、それダメなんだよね」 「なんで?」 「この『モンスターワールド』には、リクオ以外にも100人以上の人間が転送されて来てるワケよ。んで、この世界のクリア枠は10人まで…つまり元の世界に戻れるのは10人まで」 「マジか!」 「マジよ」 「じゃあ面倒だけど、とっとと冒険に出るかー」 「そうしようぜ?ここでずっと2人のセリフを羅列してても、物語が進まなくて読者が飽きるからさ」 「だからメタ発言すんな!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ――『はじまりの村』 「うわー、またベタな名前の村だなー。昭和か」 リクオとモルソンは、冒険のスタート地点である『はじまりの村』へと来ていた。 「リクオ、説明しとくね。この村の中にいる人間の頭上に『NPC』って文字が浮かんでたら、その人間はNPC」 「それ今わざわざ説明しなくても、見ればわかるって事じゃね?」 「『NPC』がないプレイヤーは、頭上に名前が浮かんでるから」 「え、そうなの?んじゃ、俺の名前も浮かんでんの?」 「うん。浮かんでるよ。『リクオ(32歳・男・独身・彼女なし・キャッチフレーズ[広告界の狂犬])』って」 「ちょま!ちょ待てよっ!」 「なんだよキムタク?」 「スペックはいらなくね!?しかもキャッチフレーズってなんだよ!?そんな愛称で呼ばれた覚えないぞ!?」 「仕方ないじゃん。仕様なんだし」
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