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「ククク」
思い出し、知らぬ間に漏れた笑いが自分の耳に届きそれさえも可笑しく感じる。
思い出すのはあの白い少女が発した言葉。
何故モンスターや魔族を殺すのか。と言う戯れの生かす気など毛頭無かった質問。
その答えは当たり前だ。
自分達が殺す。相手も殺しに来る。
これは遥か過去、モンスターが生まれた時から決まっている当たり前の事、考えるまでも無くそう言う物だった。
だがそんな質問にあの少女は答えた。
「私があんたを気に入らないからだよ!」
理不尽の一言。
だが、そんな理不尽極まりないのが誰かから与えられる死と言う物だ。
人間は、いや、その他の種族も同じ立場になれば他者を言い訳にする。誰かの為、世界の為、そうやって自分以外の者を殺す行為を正しい事だと正当化する弱い者達ばかりだった。
だが、あの少女は違った。
理不尽を理不尽として他者の命を奪う覚悟が有った。
それが分かった瞬間ガダルは笑い。少女、ハクアを殺す事を止めた。
それからの報告で力を付けていた事は知っている。
だが、それでもグルドをカーチスカをマハドルを倒せる程の実力では無かった。
「それを成し遂げる程の仲間が居たか。新たな力を手に入れたか。それとも・・・ククッ!良いぞ。それでこそーーーーーーーーーだ」
ガダルの呟きは空気に溶け、誰にも聞かれる事も無く消えていく。
そして一人。ハクアとの邂逅が近付く気配を感じていた。
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