フープ滞在記編胃が痛い王女様

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「ハァ~」  私は何度目か分からない溜め息を吐きながら目の前に積まれた紙の束を見る。  私の名前はアイギス。フープ現女王のアイギス・サンドライト19歳。  元々はラノベ作家をしていたハクアと同じ地球出身の転生者である。 「随分と溜め息が多いな?」  そしてこの子は、この世界で初めて出来た私の友人にして同じく異世界から召喚された安形澪だ。  初めての友達。と言っても仲の良い友人が居ない訳ではない。幸運にも国王の娘として生まれた私相手では、対等な友人関係と言う物が築けないのだ。  仮に身分が同じなら今度はその友人と自国の利益を計り、他国の現状を調査しなくてはならない。  国を背負う人間としては当たり前の事だけど、現代日本の元一般人としてはそれを友人とはなかなか呼べないのである。  そんな澪は私の大きすぎる溜め息を聞いてそんな事を言ったくれたので、私もこれ見よがしにジットリと見詰めながら反論する。 「そうは言うけどこの溜め息の原因の大半が貴女の連れのせいよ?」  私に取って一見完璧に見えるこの子だが、唯一彼女に関してはウィークポイントらしく、冷や汗を掻きながらわざとらしく視線を顔ごと背ける。  そんな反応に少し満足した私は山の様な書類の紙を一枚取り目を通して行く。  そこには最近の書類にほぼ皆勤賞を取っている一文がある。 『白い髪少女』『黒髪の少女』『仮面の少女』私の前に積まれた書類のほとんどに、この三つの内の一つが書いて在るのだから澪を責めたくなる私の気持ちはしょうがないと思う。  この三つの表現は一人の少女ハクアの事を指している。
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