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「そうか~。罪人用の首輪か~。わ、私無実だよ?ナニモシテナイヨ?」
「そんな冷や汗ダラダラ流しながら言っても説得力無いですよ。ご主人様?」
「まあ、君の余罪は後で追及するとして」
ナニイッテル?悪い事ナニモシテナイヨ?証拠無い。だから無実。うむ。完璧な理論だ。
『シルフィン:それ自分が犯人だと認めてません?』
そんな馬鹿な。
「まずはっきり言えば君は弱くなった。転生による体の変化、ミニゴブリンと言う種族としてのハンデ、短い期間での体の成長、原因を上げればキリが無いが全体的に動きが雑だ」
おふ。何と無く自覚は有ったけどハッキリ言われると落ちるな。
「まあ、一番の原因は体の不調が無くなった事でしょうね。地球に居た頃は時間制限が有りましたからね。それが無くなって自由に動き回れる体になった事が無駄な動きが多くなった原因でしょう」
「だから波紋とかも雑になっていたんですねハーちゃん」
うぐ。
「だからこそ、今の君に必要なのは便利な魔法やスキルを封じて素の身体能力での戦い方を思い出す事なんだ。その為のコレだよ」
そう言って首輪を私に見せる心。しかし私とて今さらそんな面倒な事したくない。
私は愛想笑いをすると同時にその場から一気に離脱する。
しかしそんな私の動きにしっかり対応して心の木刀が私の後頭部に迫る。私はそれを飛び込み前転の要領で回避すると、風魔法で土煙を作り同時に気配を消し《もう一つの魔法》を発動して姿を隠す。
「くっ」
土煙に視界を阻まれた心は気配を消した私を見付けるまでに逃げられると踏み、一旦下がり土煙から私が飛び出て来る筈の私に備える。
ふっ、ふっ、ふっ、甘い!甘いよ心!そんな行動はお見通しだよ!
私は内心ほくそ笑みながら土煙の中でじっと気配を殺す。すると徐々に私の起こした土煙が晴れて行く。
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