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家の中は、それほど広くはなさそうだが、
真っ暗なので、どこに何があるのか、
部屋の状況も、全くわからなかった。
だが、一箇所だけ、灯りがともる場所を見つけた。
正確には、灯りのともる部屋というべきか。
舞は、迷いなく灯りの先へと近づいていった。
灯りの元は蝋燭だった。
簡素な六畳一間のその部屋は、
寝室のようだった。
蝋燭の明かりに照らされながら、
布団を首までかぶり、眠っている人がいたからだ。
舞は、眠る人の顔をゆっくりのぞきこんだ。
どうやら老婆のようだ。
と、突然老婆が、目を見開く。
たじろぐ舞。
しばしの沈黙。
やがて、二人の視線が交差した。
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