5

2/4
前へ
/24ページ
次へ
 川井家の灯りは、いつになく、ゆれていた。    寝室にある、唯一の灯りである蝋燭が、  一郎と舞の動きにあおられて、ユラユラゆれているのだ。  舞に、じりじりと近づく一郎、  後ずさりする舞・・・  「何が、呪いだ、何が?」  「いや、私は、ウワサとして、ただ・・・」  一郎は、トヨの側で立ち止まる。  「村のシキタリじゃ、仕様がねぇと思ったさ、」  「な、何がですか?」  「湖に生贄だすことにきまってんだろう」  「い、生贄・・・」  「これで村も安泰ってよ、泣く泣くトヨをよ・・・」  「トヨさんが生贄・・・で、でも・・・」  舞は慌ててトヨを見る。トヨも舞を見返す。  「そしたら、トヨが・・・トヨが湖から生きて帰ってきたんだ・・・   こ、これが、キセキでなくて、なんなんだ?」  「じゃ、じゃぁ、よかったじゃ、ないですか・・・」  
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加