1

3/29
前へ
/29ページ
次へ
組の幹部タオに連絡する。 「俺だユンファだ、モール外れの裏カジノで、リャンが銃で殺られた」 「……殺ったのは?」タオの声が低くなる。 いつも笑っている彼とは趣を異にする。 「わからない」 「わかった。検死や葬儀の手配は俺が取り仕切る、お前はラウと一緒にリャンを殺った奴を特定しろ」 「俺達に影響がなさそうな相手だったら、殺ってもいいか?」 「お前ならわかるだろ」タオは素っ気なく返す。 「わかった」通話を終え、ユンファは弟分のラウをカジノ近くの喫茶店に呼び出す。 喫茶店内は、30年の歴史を感じるような白髪白髭のマスターが観葉植物に水をやっている。 マスターの他には、容姿の整った女性店員以外、むさ苦しいひげ面の男達だらけだった。 女性店員がユンファの前に、カチャンとコーヒーを置く。 ユンファは女の美貌にふと見惚れた。 喫茶店内に待つ事10分、スポーツ刈りの男がやってきた。 「兄貴遅れてすまねえ」ラウがユンファに謝る。 「別に構わねえよ。とりあえずメール見たんだろ」 「はい。リャンさんの仇、きっちり見つけて殺りましょう」 「でだ、ラウ。俺にはちっと心当たりがある」 「本当ですか。さすが兄貴だ」  「さすがってなんだよ」 ユンファは悪態をつく。 「ただよお、」ユンファがラウに耳打ちする。「そいつは俺らのファミリーの人間なんだよ」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加