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「君は自分が思っている以上に優しいから」
かすみがそっと、僕の手に触れた。
空の過去視は幻想的で、様々な雲や風や星や月が色を成して移り変わっていく。
「あの兄弟も、君の優しさに救われた。君が命を繋いだことで君のお父さんが救われたように……
だから君には良き魂が憑いているんだよ。守護神ってやつさ。
それにきっと、あの犬神も君の守護神になりたいと思っているに違いない」
クスっとキリが笑いを漏らす。
かすみがそっと手を離した。
「それに、私たちがいるじゃない?」
幻想的だった空は当たり前の空に戻った。
それでも美しく彩られたど田舎の夕雲は、やはり幻想的に輝いていた。
「でさ、次の事件なんだけど」
「はあ?」
「さっき見えたんだよね、バスに乗った時」
「はああ?! 何が?」
キリがにやりとした。
「またやるだろ? 霊界介入事件簿……的な」
「やんねえよ! 僕に平穏な学生生活を返してくれ~!!!!!」
【完】
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