第一章

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 だらしない格好と態度を装っているが、容姿はむしろ秀麗と言っても良いもので、全体的に髪や瞳の色や肌の色の色素は薄い。  しかし、その瞳を気だるげに伏せると、途端に妙な色香が時哉からは漂ってきて、早乙女は不覚にも落ち着かない気分になった。  とりあえず、どちらにしても自分の苦手なタイプだと言うのが、早乙女の時哉へ対する第一印象だったのである。  けれど、時哉が抱える過酷と言っても過言ではない過去と業を知り、早乙女は途端に彼に強い興味を抱くようになったのだった。  時哉は、以前は早乙女と同じ警視庁捜査一課の刑事をしていた。  しかし、彼の義兄である渡会数馬が犯罪者となり逃亡したために、時哉は警察を辞めることを余儀なくされたらしかった。 (そう、最初は確かに、興味本位で俺は時哉に近づいた……)  深入りするつもりなどなかったはずなのに、気がつけば時哉の元を訪れることを楽しみにしている自分がいた。  そして実際に、親しくなるにつれ、まずは時哉とのやり取りが、存外に楽しく有意義であると早乙女は感じるようになっていったのである。  結局、時哉が背負っている過去はあまりにも重く、警察ではいまだに彼に監視を付けていると知ってからも、早乙女は時哉の元に通うことを止めなかった。     
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