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「不慮の事態?そんなことよりも、新吾と芽衣は無事なんだろうな!あいつらに何かあったら、絶対に俺はあんたを許さないからな!」
時哉の言葉に返って来たのは、どこか白けた口調での数馬からの返答だった。
『それに関してだが、私は本当にこの件には関与していないんだよ。勝手に暴走した連中が余計な真似をしただけだ。それを知ったからこそ、こうして連絡している』
とりあえず、状況は理解しているらしい義兄の言葉に、時哉は素っ気無く「あんたの言うことなんて、もう何も信じられない」と一蹴した。
『これは心外だな。あんな子供たちを人質にとるなんて、私の美学に反する』
「あんたの美学なんて、知ったことか!」
しかし、時哉のつっこみを、数馬は見事にスルーした。
『それで、ここからが本題なのだが、残念だが今回は私の方の不手際もあったので、件のゲームはまた違う機会に仕切り直すことにしようと、おまえの傍で唸っている彼に伝えてくれたまえ』
今回もまた、言いたいことだけを言って、義兄は一方的に電話を切ってしまった。
あまりの理不尽さに、時哉は暫し数馬からの伝言を早乙女に伝えることを忘れていたほどだった。
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