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「仕事、急がしそうだね?」
ようやくソファーに腰を落ち着けたところで、時哉が早乙女の為にとコーヒーを運んで来てくれた。
日中なら、時哉の押し掛け探偵助手である神田新吾がコーヒーを運んでくるところだが、既に彼は自宅に帰った後である。
新吾がいる時には、絶対に自分ではお茶もコーヒーも淹れないくせに、早乙女と二人っきりになると、途端に時哉は甲斐甲斐しくなる。
(意外に可愛いところがあるんだよな……)
時哉なりに、ノンケの早乙女とできてしまったことを気にしているらしく、二人でいる時の彼は、早乙女には随分と甘い。
元々バイで、血の繋がりはないとは言え、今は指名手配犯である義兄とできていた過去のある時哉は、早乙女に対して、こんな関係になってしまったことを、どうやらいまだに申し訳なく思っている節があった。
(俺が、こいつを抱いた時点で、お互い様だってのにな)
馬鹿な男だと思うと同時に、そんな時哉のことが可愛くて愛しくて仕方がなくなる。
幸せになることに、いまだにどこか罪悪感を抱いているような節のある時哉を見ていると、是が非でも自分がこいつを幸せにしてやらねばと早乙女は思ってしまうのだった。
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