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どうやら心の声が外に漏れ出していたらしく、近くで早乙女同様に資料の整理をしていた後輩刑事の山田が不思議そうな様子で顔を上げた。
「いや、独り言だから気にすんな」
早乙女が素っ気無く答えると、山田は一瞬不満そうな顔になったが、賢明にもそれ以上の追及はしてこなかった。
地味で凡庸な容姿とは裏腹に、なかなか洞察力に優れている山田は、先輩刑事のあしらいにも長けている。
そんなところが、たまに鼻につくところもなきにしもあらずではあったが、早乙女が本気で触れて欲しくないと思ってることには、絶対に触れようとはしない山田の察しの良さには救われることも少なくなかった。
「そう言えば、先輩って明日は久しぶりの非番なんですよね?」
「ああ、ようやくな」
警視庁の捜査一課の刑事に、日曜祝日などあってないようなものだった。
特に、深刻な殺人事件で捜査本部が立ち上がっている時などは、家に帰ることさえままならないことも多い。
仮眠室で横になって眠れたらまだ良い方で、捜査本部の椅子に座ったままでとか、張り込み中の車の中で仮眠を取ることも、けして珍しくなかった。
早乙女も、一昨日までは都内で起きた、コンビニ強盗殺人事件の犯人を追っていた。
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