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「ほら、いつもの土産だ」
そう言って、早乙女が差し出した洋菓子の箱を「ありがと~v」と語尾にハートマークを付けながら受け取った時哉だったが、洋菓子の箱から早乙女の顔へと視線を向けた途端に表情を曇らせた。
「どしたの?なんか、疲れた顔をしているね?」
心配そうな表情で首を傾げて見せる時哉に、早乙女は思わず目を細めた。
いつも眠そうな顔をしているが、時哉の顔立ち自体はかなり端正なものである。
スラリとした長身でスタイルも良いので、それなりの格好で、真面目な顔をしていれば、時哉は充分に美形と呼んでも良いくらいのルックスをしていた。
今のように、自分のことを優しく気遣う表情も、なかなか悪くないと、早乙女は内心でこっそりと思う。
「ん?そうか?自分じゃ、あんまり分かんないけどな」
早乙女はそう言うと、やや長めの黒髪を大きな掌でかき上げた。
考えてみれば、このところの多忙のせいで、暫く散髪にも行っていない。
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