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「先生、ありがとうございます…ごめんなさい。」
仲裁役のつもりの女子は、見事事を収めた先生に対して感謝と謝罪を繰り返した。
「別にかまわないさ。
それより、あんな場所に使われまともに飛び込むとは度胸があるんだか無いんだか。」
この先生、何者だ…女子の状況を的確に言い当てている。
さして親しい仲でもなく…ましてや担任などではない。
この謎の教師は、本来女子にとっては警戒心を抱かせるべきものだが…助けられた女子にとっては感謝の意思しかなかった。
とはいえ、敵意は感じない…単なるお節介かもしれない。
「それでは、失礼します。」
女子は去ると、教師も適当にぶらついた。
ひたすら校舎を歩き…一人の生徒を探す。
「まったく、他にやることないのかねぇ。」
やがて、人気のない校舎の階段に一人の制服姿の女子を見つけた。
薄く微笑む花のような美少女。
「恋は神聖ですから。」
女子は、なまめかしく教師にささやいた。
「俺も昔はそうだったよ。」
「今も、の間違いじゃないんですか?
そうでなきゃ、私がここにいない。」
「使いだよ、お前は。」
気だるそうにそう呟いて、教師は散歩を楽しみながら制服姿の恋人を迎えた。
恋は人間社会の根幹。
どんなに足掻いても止めようが出来ない。
校則も乗り越え、先に進む。
…これぞ、禁断の秘密。
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