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「こらこら…愚痴ってる暇があったら練習しろ…サボると置いてかれるぞ。」
その時、天の助けが現れた。
騒ぎを聞きつけ、職員室からやって来たのだろう…それともたまたま通りすがったか。
中肉中背の中年男性が少女の前に立ちはだかる。
やる気はなさそうだが、若者に殴って倒れるほどやわでもなさそうだ。
「先生だ!」
「これからなのに!」
「誰だ先公呼びに行った奴!」
刺激に飢えた青春バカの野次馬を取り込んだ…何を期待して裏切られたかと落胆する輩ども。
ヤジを飛ばし、騒ぎ立てる。
青春は面倒だ…時々学校の領分が消えていく。
「先公を潰せ!」
「我々の自由と青春時代のために!」
「吊し上げろ!」
そんな声も聞こえた気がしたが…いちいち説教して、子供可愛さのモンペが乗り込んでくるのも億劫だ。
とりあえず、そのあたりはシカトに限る…先生も大変なのだ。
「野球部が…。」
「サッカー部が…。」
両者のスポーツマンシップがカケラも失せている…なまじ鍛えている分、意地が抜けないのかもしれないが。
「こらこら、いつまでつまらん言い訳しとる?
こんなつまらんケンカを敗退の言い訳にするつもりか?
それこそ、女が去る話だと思うのだがね。」
先生はすぐさま、場をまとめていく。
男が女が恋愛などという、モテるモテない…惚れたはれたという下らん理由で力関係を作るのもバカらしい。
学校を何だと思っているのだ。
しかし、先生の方が一枚上手だったらしい。
「仕方ない…。」
バレンタインデーのチョコレートの数に響くと思ったのだろうか…両者の部活は身を引いて野次馬も去った。
場は一気に静まり返る。
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