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「これで終わるんだな」
俺は自分の主に向けて声をかける。
主の目的、それは簡単に言ってしまえば人類を滅ぼす事。
それを叶える為に、目の前の力場を見つけ出したのだ。
この力場を使いこなせれば、過去を変える事も死んだ人を蘇らせる事が可能だ。
【世界の心臓】
それがこの力場の名前だ。
この力場を目指し、数多の人間が散っていった。
その人間の躯を超えて、主と俺はたどり着いた。
後はこの力場を使い、人類を消すだけ。
そうすればこの世界はより良い世界へ進んでいく。
争いを起こす元凶である人間が消えれば、自然が破壊される事も無益な争いで消える命も無くなる。
「今まで悪かったね」
主は疲れたように微笑んでいた。
俺はそんなことはないと首を振ったが同時に力場へと俺は突き飛ばされていた。
力場に飲み込まれながら俺は戸惑ったように主を見た。
「ずっとこうするつもりだった、世界を再生し君を神にするために。
優しい君なら、人類が存在しても破滅しない世界を作ってくれるはずだから。
それに・・・・君には死んでほしくないから、神になれば永遠に生きれるから。
もう二度と君が死ぬことはなくなるから」
悲しそうに笑いながら主は・・・俺が愛した人は言った。
世界の再生は方法のひとつとして聞かされていた。
力場に新たな意志を与えることにより、今まで存在していた世界を消し。
新たな意志の基、全く新しい世界が作られると。
でも俺かあの人が消えてしまうからやらないと言ったではないか。
生きるのならばあの人の傍にいたい、それ以外は何もいらない。
神になりたかったわけじゃない、永遠の命がほしいわけじゃない。
そう叫びたいのに消えつつある身体ではもう叫ぶことはできなかった。
「前世で守れなくてごめんね、大丈夫だよ君は強いからだから幸せに生きて俺の{女神様}」
大丈夫なわけない、そう心で呟き俺の意識は途絶えた。
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