第3章 俺が忘れさせる

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【side 桜太 】 赤い顔したまま……困惑気味の彼女が部屋に入るまで見送って、元来た道を歩く。 キスしたい衝動を抑えられなかった…… 想いを……告げるつもりもなかった…… 今はまだ…… 自分の気持ちなのに…… 理性で抑えられないなんて…… 前の男が、彼女の心を占めている……今のままの俺じゃ……到底及ばない…… 七緒が欲しい…… 絶対に手に入れたい! その為には…… マンションの駐車場に向かい、自分の車に乗り込み、車を走らせ、目的地へ向かう。 今日中に……ふたりに会わないと…… 勝手知ったる事務所のドアをノックする。 「開いてるよ~」 返事を聞いて、ドアを開ける。 「あれ~桜太?」 「…千尋さん、俺……レンタル彼氏辞めたい」 本気の女が出来た以上…… 例え、片想いだとしても…… もう……他の女を抱くことは出来ない…… 嘘の愛を紡ぐことも…… 俺をまっすぐ見てた、千尋さん…… 「…なるほどね~……辞める意思は分かったし、了解だよ~でも、予約客を捌いてからかな……その代わり、オプションを外してあげるよ~オプションのみの、クライアントは、こっちで手を打っといてあげる~」 「ごめんなさい……突然で……」 多くを言わなくても、理解してくれる千尋さん…… 「桜太も、どんどん大人になってくね~桜太の心を射止めたのは、どんな子なのかな~」 「すっげえいい女」 千尋さんの問いに、自然と口に出た返事。 「桜太が、そんなこと言うなんてね~」 始終笑顔の千尋さんに、見送られて事務所を後にする。 次に会うべき人は…… ピーンポーン──! ガチャツ──! 「……桜太?珍しいな……どうした?」 「話があるんだ」 用がある時は、cherry blossomの事務所に行く俺が、父さんの部屋に訪れる機会は少ない。 招き入れてくれた、父さんの後ろを着いて、リビングへ向かう。 「……どうした?真剣な顔して……」 ソファーに向かい合って座る。 「……1ヶ月後から、俺を働かせてくれない?」 「……働くって、cherry blossomでか?」 父さんの問いに頷く。
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