― 体育祭って、見せ場だよね? ―

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 幼いながらも流星は『人間は醜いもの』と、定義付けてしまったらしい。けれど、雫はそうではなかったのだ。  最初は流星とて、雫も『他の人間と同じ』だと思っていた。事実、雫とも一線を画して接していた。けれど、傍にいて………居続けてわかったことがあった。 ―雫は『他の人間』と違う。雫は『綺麗』だ―  容姿も勿論愛らしかったけれど、そう言うことじゃない。雫は内面的なもの………そう『心が綺麗』なのだ。  いくら『大切』とは言え『他人(この場合は流星)』の為に、本気で泣いて・怒って・笑って・哀しむ。『喜怒哀楽』さえも同調してくれる。そんな『人間』、流星の周りにはいなかったのに………。  『血の繋がり』さえもない『他人の為』に、『同情』や『憐れみ』でなく泣ける人間など、今の世にどれだけいるだろうか? 「…流星………それ、他のコに言ったらダメだよ?」  眼帯の上から右目を押さえた雫が、呆れたような顔をして苦言を呈する。一方、流星は雫の言わんとしていることが理解できなかったのか、顔に『疑問符』を浮かべて首を傾げた。 「だから。女の子に『綺麗』とか言ったら『勘違い』しちゃうから。」
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