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「何言ってんだよ。シズは『勘違い』なんかしねーじゃん。」
「『他のコ』って言ったでしょ。私は『別』じゃない。私と流星じゃ『あり得ない』もん。」
これだけの長い時間を共有しながらも、雫と流星の間には『恋愛感情』の欠片さえも芽生えない。お互いを『異性』として意識できないからだ。
恐らく、共有した時間が長いのではなく『長すぎた』のだ。よく異性の幼馴染み同士が『恋人』になったりする話があるが、そんなのは『小説』や『ドラマ』の中だけ。作り物の世界の話だ。
特に『異性』の幼馴染みの場合、気心が知れ、距離が近すぎる為『恋愛関係』には発展しない。
雫と流星は、正にその典型であったため『恋愛感情』が皆無なのである。
「それよりさ。シズ、神城先輩の告白………もう『答え』出せそうか?」
不意に脈絡なく、流星に静かな声で問い掛けられ、雫は言葉に詰まった。何故、今のこのタイミングで聞いてくるのか?
雫のそんな疑問が、ストレートに表情に出ていたのか。流星は苦笑しながら言った。
「だって、体育祭って一種の『見せ場』だろ?イイトコ見せたいだろうし、あんまり待たせんのも『酷』だろ?」
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