第1章

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 僕の声に驚いたせいか、その女の子も反射的に身体を引いた。大きな目をした丸顔の女の子は、上半身をひねって後方へ声を投げた。「気がついたみたいよお」  そうか。どれどれ。複数の声がして、足音がそれに続く。仰向けに転がっている僕の周りを何人かの子供が取り囲んだ。そのせいで僕の視界は狭まり、空の面積が小さくなった。  僕は肘をつきながら身体を起こした。胡座をかく。とたん、差し込むような痛みを頭に感じて、顔をしかめる。両手で頭を抱えた。 「大丈夫かい?」僕と同世代くらい、短い髪を逆立てた男の子が、屈みながら僕の顔をのぞき込む。「続けて質問したいけど、答えられるようになったら教えてくれ」  僕は頭を左右に振って頭痛の程度を確認した。大丈夫だ。さっきの痛みはもうない。首を一度ぐるりと回してから男の子を見る。「大丈夫だと思う。僕も聞きたいことがあるし。たぶん、たくさん」 「いいよお。何でも答えるから、聞いてよお」アニメ声を出した女の子は、さっきの目の大きな子だ。幼い声にぴったりのかわいい笑顔を僕に近づける。僕の二倍はある大きな目がくりくりとよく動く。 「ここがどこで、君たちは誰」女の子の脇から、彼女によく似た顔がひょいと現れた。ただし、こっちは男の子だ。「まず君が聞きたいのは、それだろうね」  僕がうなずこうとすると、今度は別の声が。 「あたしたちが聞きたいことも、それとほぼ同じよ」ちょっと大人びた声がしたので目を向ける。大人っぽい雰囲気の美少女は、お約束のロングヘアに切れ長の目。「あなたが誰で、どこから来たのかってことね」 「この村の人間じゃないしね」カエルがしゃべった。いや、正確には美少女の後ろにいる、カエルの着ぐるみを被った誰かが声を出した。「もしかして、本土から来たのかも」 「本土ぉ?」五人の子供プラス僕が、同時に声を上げる。  本土って、なに? そう聞こうと思った僕は、先手を打たれた。 「まさかあ。じゃあ、この子が『お客さん』ってか?」 「ありえないよお、そんなの」 「まだ子供だよ。僕らと同じくらいだし」 「契約はどうなっているのかしら」 「契約? なにそれ? お客さんって?」やっと口をはさめた僕。でも、誰も聞いていないし。 「事情はわかんないけど」カエルが身体を左右に揺すった。「本土からってのは、間違いないと思うよ。ほら見て」
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