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繭
白い部屋は、幾千もの糸から成り立っていた。
繭だった。生クリームを何百何千回かき混ぜてできたかのようなきめ細かさは、白と呼ぶのもおこがましい。例えるなら、光だった。
繭から発せられる白は、瞼を透かせて温かみを投げかけてくる。が、決して不快な感じはしない。
私はいつからここにいたのだろう。思いを巡らせてみる。
遠い日々に。遠い感情に。かつての自分は何故この場所を選んだのか? 何故ここでなければならなかったのか? そもそもここは一体どこなのか?
私は一体誰なのか?
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