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僕とうさぎ
昭和の中頃。
協調性の中にまだ幸福があった時代 。
人々の生活には確かな余裕あり、それは都会でも田舎でも変わらなかった時代。
その時代で
確かな異常が起きていた。
僕はその日、先生に教えを乞うべく、先生の家に向かっていた。
僕が住んでいるこの北方という町は、文字通り僕が住んでいる地区の北の方である。人口はそこそこ、土地は広い方だと思う。そんな田舎とも都会とも違う、まったく中途半端な場所。そして、盆地である。
冬には雪がドサドサ降り、夏はこれでもかというほど暑い。今は春。4月半ば。
先生の家は山の方にあり、行くのは自転車である。途中にある裸の地面を見せる田んぼを通り過ぎる。この町の田舎の部分、田んぼが限りなく続き空は白い雲と青が半々といった感じで広がっている。途中にある橋を渡り、また田んぼに出る。しばらく進むと平坦な道が突然終わり坂道が見えてくる。傾斜はそうでもないが、上るのに時間がかかりそうだ。そうだではなく、経験上確実にかかるが…
「これは遅れてしまうね。」
思わず独り言。
先生との待ち合わせ時間に少し遅れそうだ。早く来たはずだが…
これは、トラブルを考慮しなかった僕が悪い。
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