0人が本棚に入れています
本棚に追加
えっちらおっちらと坂を上る。最初は何ともないが、上るにつれて足におもりがどんどんのってくることがわかる。足がだんだん使えなくなる感じだ。先生のうちに行くことが唯一というほど運動する機会がない僕としては、この坂道はとてもきつい.
先生の家についたのは、約束の時間から三十分たった後であった。
先生の家は町の外れ。この町を囲む山の中の一つにあった。先生自慢の力作であるそれを見るには、階段を登らなければならず、自転車は山道に置くか、階段の先にある庭に置くか決めなければならない。迷わず階段を自転車で押してのぼる。
自転車を庭にとめ。玄関の戸を叩く
「先生。いらっしゃいますか?」
返事がない。出かけていらっしゃるのか?
もう一度叩く。
「先生。いらっしゃらないのですか?」
また、返事はなかった。
裏の畑か。そう思い裏手に行くと、そこに僕が探していた先生がいた。
先生は半袖に長ズボンといった服装で桑をふるい、畑を耕していた。僕に気づいたのだろう。先生は片手をあげ、存在を強調する。
「申し訳ありません先生、少し遅れてしまいました。」
先生は...笑っていた。
「いいんだ。少し早いくらいだよ。」
そう言って、僕に少し庭でまってくれという。
最初のコメントを投稿しよう!