2日目

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「そういやあさ……なんだっけ、昨日聞いた言葉で……」 「んー?」 「パイスじゃなくて……なんか他に呼び方……」 「エンケパロス?」 「あ、そうそう。それって?」 「俺らのことー。種類ってゆーか。……タナトスは別の」 「ああ、えっと……何だっけ」 「アントロポス」 「うん、何度も聞いてるんだけどさ、覚えられないんだよね。――どういう意味?」 「知らない」 「パイスとエン……ケパロスは別?」 「知らないしー。そういうの聞かれても困る。――そういうのはさ、ヒトに聞いてよ」 「なんか、同じようなニュアンスに聞こえたんだよな。違う意味?」 「だから、ヒトに聞いて。ヒ・ト・に」 そこでようやく、安治はジローの感情に気づいた。 「あ……ごめん」 「なんで謝るんだよ」 ジローは苛立ちを吐き出すように言うと、口調を変えて笑顔を作った。 「タバコ持ってない?」 「だから吸わないんだって。――昼間何してんの、おまえは?」 「別に何もー。することないもん」 「ほしこさんの手伝い?」 「俺の話はいいよ。話すほどのことなんてなーい」 「そう言われてもさ、俺も……」 「いろいろあるでしょー」 わざとか偶然か、テーブルの下で足を蹴られる。 「じゃあ逆に、何について聞きたい?」 「安治いま、何が楽しい?」 「うーん……」     
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