2日目

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すぐに思い浮かんだ回答はあったが、答えるのをためらう。安治の部屋に同居人が置かれたのは少し前からだ。 表情を読んでかどうか、ジローが話題を振った。 「彼女の話してよ」 「……おりょうちゃん?」 「名前は知らないけど」 「んー、じゃあ……」 安治は頬をかきながら、伏し目がちに答えた。 「おりょうちゃんは……すごい美人で……スタイルもよくて……やさしくて、気が利いて……料理がうまくて……パ」 パーフェクト、と言おうとしたのにかぶせて「あれもうまい?」と聞かれた。 安治はひとまず、深呼吸をした。顔が熱い。 「どしたの?」 ジローは意外そうに尋ねた。その顔にやらしい気配はない。 安治は、いったん落ち着いて確認しよう、と思った。認識の齟齬があるかもしれない。呼吸を整える。 「……あれって何?」 「営み」 齟齬はなかった。 「おまえ、そういうこと、堂々と言うか?」 「はん? 堂々とじゃなかったらいいの?」 「そういうことじゃ……いや、そういうことか……。言い方ってあるじゃん」 「よくわかんない」 わざとらしく子どもっぽい仕草でかわされる。 「彼女の好きなところを3つ挙げよ」 「3つって、だから……むしろ悪いところのほうがないよ」 ジローは両手を組み、その上に顎を載せて、上目遣いにじっと見た。 「……なんだよ、別に嘘じゃないよ」     
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