エンケパロス

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「性別は男よ。モデルと同じ性別だから」 「はあ。じゃあ、顔をわざと変えてる?」 「そんなことしないわ。偶然よ。作る過程でまったく同じのは出来上がらないの」 「なんでタナトスをいっぱい作ってんの? 影武者?」 「違うわよ。順番が逆。タナトスの見た目はこの子たちがモデルなのよ。オリジナルは、大昔にいた美少年。かわいいでしょ?」 「えーと、ほかにも大勢いるわけ?」 「タナトスの顔? 大勢はいないわね」 やりとりをする二人の顔を交互に見ていた件の子が突然、 「ディダスカロス」 と、はっきりした声で言った。 安治は驚いたが、 「なあに、パイス」 とほしこが応えたのを見て、何か呼びかけの言葉らしいと気づく。 「僕も安治と話したい」 どこかわくわくした表情で訴える。 安治は再び驚いた。その積極的な態度は、タナトスにはほとんど見られないものだった。 ほしこは軽く笑った。その子ではなく、安治に言う。 「実はね、そのつもりで用意していたのよ。あなた、この子の話し相手になってもらえないかしら」 「話し相手って……タナトスは?」     
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