『SINGULAR POINT』

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「氷花、大丈夫だよ。凄く、気持ちいい。氷花のここ、熱くて、纏わりついて畝っているよ」  ぱん、ぱんではなく、ぱぱぱぱという小刻みの音に変わる。俺は、全身を揺らされ、もう何も考えられない。それが又、ゆっくりに戻った。今度は、中をかきまぜて来る。  しかし、時折抜き差しする時は激しい。音にすると、バチュン、バチュンであろうか。  「氷花、氷花も感じさせたい」  もう終わりにして欲しい。身体も心も限界になりそうだった。最初から、そこでイケるなど、俺も思っていない。 「慶松……も、や……だ」  俺はバチュバチュバチュというような、激しい突き上げに、空気を肺に取り入れるのがやっとになっていた。言葉が出ずに、圧縮空気だけが、口から出て来る感じであった。 「ふぐ、ふ…ぐ…」  こんな場所で、こんな事が出来るなど考えた事もない。あれこれが頭をよぎりながらも、又真っ白になってゆく。 「ごめん、中に」  そうか、俺は慶松に抱かれている。この激しい突き上げを、俺は尻で受け止め、全身で感じている。鼓動よりも早い律動に、全身が興奮して熱を帯びている。 「あ」  慶松がイキ、俺はベッドに全身を放り出す。  慶松と寝てしまった。慶松に抱かれてしまった。後悔など無いが、俺の世界が動いてしまった。  俺の大切な事柄が、順番を変えて崩れてゆく。 「氷花、大丈夫か?」  慶松は優しく、俺の全身を温かいタオルで拭き取っていた。 「風呂に入りたいよね」  でも、岩崎の両親がいる。あまり、変な行為はしたくない。  まだ挟まったままの感覚で、戻らない。手で確認しようと伸ばしてみると、ちゃんと閉まってはいるが、奥に熱がこもっていた。 「ちょっと擦り切れちゃったかな。熱いね」  慶松が指で薬を塗ってくれた。でも、その薬を塗る手が、どこかイタズラに似ている。 「薬、押し込むよ」  指で中まで薬を塗ってくれた。 「うん……!」 「氷花、ピンクでぷっくりしていて、可愛い」  どこの事を言っているのだ。俺が呻くと、慶松は横に寝転んだ。 「これで、氷花は俺のだ」  権利を主張している。 「その定義は?」  誰にもさせない事を、させてくれたからだそうだ。 「そう。でも、次はないかもよ」 「そんな」  慶松が情けない声を出していた。  翌日が休みという気分のせいか、朝方まで話し込んでしまった。早朝、岩崎の両親は、岩崎に声を掛けると帰って行った。
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