第一章 人食いの箱

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 エレベータを降りて、見つけた部屋は社長室の横にあった。 「氷花です。本日より、配属になりました」  部屋に入って挨拶してみると、数人がちらりと俺を見た。 「あ、ああ。今日からだっけ?あ、机、どこだっけ?」 「ここです!」  女性に言われて、川越と名札を付けた男性が、慌てて机を叩いていた。 「そう。ここね。仕事内容は、温科(ぬくしな)君に聞いてね。 でも、全体的なことは、僕が説明しておこうかな」  俺の席は、急遽用意したようで、皆の並びと離れて、給湯室の前にあった。 それでも、半個室のような形になっているので、居心地は悪くなさそうだ。 俺は、人とペースが合わない場合が多いので、離れていた方が、気を使わせずに済む。
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