第一章 人食いの箱

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大学で就活をしている時に、自分の原点を思い出した。  都会は野菜の価格が高いうえに、不味い。 高級な野菜を買ってみると、どこか人間に媚びている味のような気がして、 俺には合わなかった。  野菜が媚びているのではなく、 野菜を作っている人間が、特殊な上流階級のために特殊な野菜を作っているのかもしれない。 それは、社会経済であり、流通であって何も悪くはない。 でも、自然を感じない味には興味が無かった。  俺の言い分に心配した兄が、病んでいると勘違いして田舎から野菜を送ってくれた。
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