第十七章 弥勒 二

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「まず、じっくりほぐす。指二本が楽勝になったら、次ね……」  まず、最初というのは本当に一回だけなので、楽しむしかない。 それを、石田の感想と組み合わせると、嘘にしかならない。 「受ける方はさ、受け入れた瞬間に、人生が百八十度変わる事もあるらしい。 そんな事は、一生、自分には無縁と思っている行為だからね」  石田の言葉のようだが、そこには実感が籠っていた。 石田は、だから、なかなか自分が男に抱かれたとは認めなかったのだ。 治療の一環?体操なのだと思い込もうとした。  やっと自覚してきたので、相手は次のステップに入ったのかもしれない。
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