第一章 人食いの箱

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「……俺は、たまたま、売ってしまっただけで、次は無いと思います……」  ここでは、熟れ過ぎた野菜や果物は、出荷できずに捨てるか、自分達で食べるか、 近所に売るかくらしかなかった。 でも、自然に熟れた野菜や、果物の味はとても美味しい。  しかし、売るとなると流通途中で腐る可能性が高かった。  だから、自分用に加工し、冷凍保存や、フリーズドライで保管しておいたのだが、 どうも凝り過ぎてしまい大量に作ってしまった。  そこに、社内の新企画に、この営業所も出さなくてはならなくなり、 つい自作のこの野菜たちを出品してしまったのだ。
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