第一章 人食いの箱

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「で、氷花は、又、彼女がいないの?」  千葉にもよく彼女を紹介されるが、最近は断っていた。 出会った数よりも、去ってゆく人数の方が多い気さえしてきたのだ。 「ギャップが激しいと、皆、去ってゆきます」  和室で卓袱台のようなテーブルの上には、様々な野菜の天婦羅がやってきた。 この店は、何の野菜なのか、山菜なのかも、さっぱり分からない揚げ物を出す。 それを、そのままか僅かに塩で食するのが、俺の楽しみであった。 「要は振られているの?」 「そうです」  何故か、皆で納得している。 「……氷花君は、その、まあ容姿がね、ちょっと凄いからねえ」  菊池所長が、そばを食べていた。 ここの山菜そばも、かなりいける。
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