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昔祖母が布団の中で、自分たちが寝るまで聞かせてくれていた話のことだとようやくわかった剣斗は、晴れ晴れとした顔で頷いた。 「わしも作り話だと思ってたんだが、そいつ、実在したんだよ。」 「まっさかあ。 おっさん、冗談ならもっと上手く言えよ。 いくらなんでも無理がありすぎるって。……え、本当に?」 敦士の話に海斗は驚いたように敦士の顔を無言で見つめ、剣斗はからかうような口調で笑い飛ばしていた。 しかし真剣そのものの敦士の表情に、剣斗も真顔になると恐る恐る尋ねた。 「ああ。 この前、となり街で暴動が起こっただろう? あの時にわしらも助っ人として出動したんだが、そこにそいつが連れてこられていたんだよ。 首輪に鎖で繋がれて、手や足もそれぞれ短い鎖で繋がれていてなあ……。 ほら、外国の重犯罪を犯した奴が付けられてるだろ、あんな感じだ。 だから最初、暴動のリーダーかなんかだと思ってたんだが。」 低く押し殺した声で、ことのあらましを話していた敦士は、ここまで話すと持っていたタバコに火をつけて吸い始めた。 「それで?」 じっと待っていた剣斗だったが、いつまで経っても話す様子のない敦士に痺れを切らすと続きを促した。     
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