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「逃げて行くもんじゃあるまいし、そう急かすなよ。 ええっと……ああ、そうだ。 だけど髪の色が話の中で言われている通りの『太陽の暖かい陽射しのような色と夕焼けのような色』だったんだ。ただ単に染めてるだけかとも思ったんだが、振り返った時に夜叉の仮面を付けてるのが見えてなんとなくピンときてな。 近くにいた情報通の奴に聞いたら、異端児だって教えてくれたんだよ。……でも、あいつも可哀想だよなあ。 今回、あいつへの政府の扱い方を見てたら本当に気の毒に思うよ。」 剣斗の子供のような好奇心で一杯の顔を見た敦士は、苦笑いをしながら話し始めた。 しかし当時の異端児に対する待遇を思い出したのか、同情するように呟いた。 「なあ、おっさん。 どこに行ったらそいつに会えるんだ? 俺、そいつに会ってみたい。」 「お前、人の話聞いてたか? 異端児は政府に管理されてるんだよ。 そんな簡単に会えるわけないだろ……いや、待てよ。 確か今、施設の改修工事の関係であいつを山の中に移してるって言ってたな。 あ、でも無理だからな。 いくら施設の外にいるって言っても警備は厳重で、そう簡単に近づけるような場所じゃ」 「敦士さん、もう遅いって。」 剣斗の質問に考え考え答えていた敦士だったが、答えていくうちに口を滑らせてしまったことに気づき、慌てて見に行かないよう釘を刺した。 しかし海斗の大きなため息とともに吐き出された言葉に振り返って見ると、剣斗はそわそわした様子で、どこから取り出したのか大きなリュックにロープや工具用品を詰め込んでいる。 「あれ、何に必要なんだ? ていうか、あいつ、どこの山か分かってんのか?」     
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