第1章 藤吉太郎という男

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私とマサルはひたすら、テープをナンバープレートに巻きつけていた。 季節が夏ということもあり、汗だくになっていた。 ナオヤ君:「もしもし、ジュン君?! …明日先週と同じように裸の女3人お願いね♪       …こないだのやつさー、道路で入れようしたらさー、       なまら生意気な事言ってきたからさー、ビンタして       お灸すえてやったよー、したらやっと大人しくなってさー…」 ちょいちょいナオヤの電話の会話が気になったが 私達は、ひたすらテープを巻いていた…。 ナオヤ君:「あっ、太郎!ごめん、悪いけど、       黒い手袋を10個どっかから持ってきて!       いいか、黒だからね!黒じゃなかったら、       ぶっ殺すからな!!」 その時、私はイラついた…。 これじゃ、1個500円のインセンティブをマサルに 多く奪われてしまうからだ。 しかし正直、ナオヤはその辺の柄の悪い高校生とは 頭のおかしさが違うので、口応えすることは出来なかった…。 仕方なく、私は黒い手袋を探しに行った。 … 黒い手袋を用意して、河川敷に戻ると、 黒い服を着た集団が何やら、 僕たちが作業したバイクを吹かして、意味不明な叫び声をあげていた…。 太郎:「…」 ナオヤ君:「あ!太郎とマサルはもう帰っていいよ!       これは報酬ね!       後、来週も頼みたい事あるから、よろしくね!」 私たちは、何事も無かったかのようにそのまま帰された。 結局、500円×11台+手袋手配の手数料(1000円)=6500円の報酬でした。 これが、人生初の私の仕事だった。
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