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(小笠原の奴、今頃お叱りを受けてるかもな)
実は今回、俺の代わりに1号店には榊さんが入る事になっている。
神条さんの指示で、店長入れ換え指導が抜き打ちで行われているわけだ。
(心配で胃がキリキリしてきた……)
結局のところ、俺が後でどやされることは避けられないだろうから覚悟はできているが…――
(仕事のことになるとあの人おっかないからなぁ…)
公私混同する人じゃないから恋人の俺にも例外なく厳しい。
既に開いていた扉を押して中へと歩を進めた俺は、奥の方から聞こえてくる物音まで迷わず近付く。
きっと津田か高屋辺りだろう。
そう決めつけていただけに、視界に入った予想外の人物に息を呑み、詰めるはずの距離も大分開いた位置で足が止まった。
俺と同じ…か、若干上回っているかもしれない長身に、ツンツンと立ち上がった短髪は綺麗なダークグレー。
耳にはピアスがキラリと光り、首には少しゴツめのチェーンが引っかかっている。
(すげぇ派手。何処かの馬鹿とダブルのは気のせいか……?)
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