111人が本棚に入れています
本棚に追加
「………」
「…ん?…ああ、そうか。自己紹介しないと分からないよな。今日から3日間2号店を受け持つ事になった本店店長の英です」
彼に距離を詰め、宜しくと軽く手を差し出す。
(そういえば先月辺りにバイトを一人入れるとか言ってたな。見た感じ大学生くらいか)
感じ良く笑みを浮かべ、握り返してくれるだろう手をジッと待つが、何故か反応がない。
(えー…と?…何なんだろうな、この沈黙)
胸元につけられたネームプレートに視線を落とし、名前を確認する。
「…篤見(アツミ)…?」
「あっ、…あー…すみません。――篤見です。こちらこそ宜しくお願いします」
漸く握り返してくれた手にホッとしつつ苦笑を滲ませる。
「呆けても仕方ないよな。知らない奴が突然店に入ってきたら誰だって驚く」
「え?…ああ、それは確かにそうですね」
「何だ?歯切れが悪いな」
他に何か理由がありそうな言い回しだ。
最初のコメントを投稿しよう!