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抜き打ちであることを、篤見はあからさまに溜息を零しては、オーナーの思い付きであることに諦めたように肩を竦ませていた。
「まあとりあえず、3日間宜しくお願いします。優一さん」
スタッフルームを借りようと歩を進めたところで、彼に下の名前で呼ばれギョッとして振り返る。
「おまっ……、代理だが3日間はここの店長だぞ。名前で呼ぶなよ」
「ああ、知ってました?あの人、仕事の電話でも英より優一って名前で呼んでる事が多いんですよ」
「はっ…!?」
「珍しいですよねぇ。仕事にプライベートは持ち込まない人なのに」
(…確かにおかしい)
篤見に聞かれているということは店から掛けてきた電話だろう。
(客にも聞かれるかもしれない場所であの人が下の名前でなんて……。実はその辺緩いのか?いやいやまさか…)
いろんな意味で呆気に取られる俺を、篤見はどこか楽しげにニッコリと笑顔を見せた。
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